No.597

2022.02.14

電球メーカーの技術応用により再現された“幻のキノコ”

ホホホタケ

ホホホタケ

概要

「ホホホタケ」とは、希少なきのこである“はなびらたけ”のブランド名。はなびらたけは標高1,000メートル以上の高山で生育し、採取することが困難なため「幻のきのこ」と呼ばれる。見た目は白い花びらのようで、食感が優れ、栄養素のベータグルカンが多く含まれており免疫機能を促進する。従来、高山の限られた環境でしか育たず、採取量が極めて少ないものだったが、自動車用電球メーカーの製造管理体制を応用し、温度・湿度・二酸化炭素濃度などを生産現場で厳格に制御することで、現場での「ホホホタケ」栽培のノウハウを確立。市場に安定供給できる体制が整えられた。従来の農家のように天候や農作物の生育環境に左右されることなく安定供給ができる生産管理技術は、今後、「ホホホタケ」の国内外の販路拡大だけでなく、事業シフトの求められる自動車産業や下請け企業の事業変革事例としても注目される。

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なぜできるのか?

厳格な栽培環境維持

最初の40日、無菌袋の中で「ホホホタケ」を育て、次に湿度99%の環境下で30日育てる栽培環境を維持。「ホホホタケ」の生産元の大井川電機製作所は、電球製造業で培ったモノづくりのノウハウを栽培に活かし、厳しい製造・品質管理体制のもと、衛生・温湿度・手順・品質・発送など厳格な管理基準を設けることで「ホホホタケ」の生産を可能にした。

安定供給

はなびらたけは高山で生育し、自生条件が厳しく採取量が極めて少なかったため、料理店で扱われることが少なかった。しかし、生産現場栽培により安定供給が可能になったため、国内外の料理店やスーパーでの取り扱いにつながっている。

高い有効成分

はなびらたけは栄養価が高く、漢方やサプリメントとしても古くから利用されている。きのこの中でも栄養素のベータグルカンが多く含まれ免疫機能を促進する。

雇用の創出

生産元の大井川電機製作所によると、「ホホホタケ」の生産は、丁寧な管理が必要な反面、製品自体は軽くて軽作業であるため、地域住民の雇用や、高齢者の活躍の場として発展することが期待されている。

相性のいい産業分野

農業・林業・水産業

希少なきのこの栽培を工業メーカーの品質管理体制により生産現場で実現

製造業・メーカー

生産現場の厳格な管理体制を活用した新規事業の立ち上げ

教育・人材

きのこの軽作業で生産できる特性を生かした高齢者の雇用の創出

この知財の情報・出典

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © 大井川電機製作所